2026年6月の振り返りとサポーターページのご案内
気温がぐちゃぐちゃですね。されど、原稿は進むようになってきました。このペースを維持したいところです。
更新履歴
WRM
06/08:10年使えるノートツールを目指す / 名前を与える / Blueskyのログを自前のシステムで残す|倉下忠憲
06/15:ツールに引く切断線 / 経験のコンフルエンス / Notebook LMに作業記録を手渡しやすくする|倉下忠憲
ニュースレター
R-style
うちあわせCast
ブックカタリスト
note
06/17:考え続けること|倉下忠憲
06/27:問題をクリアにする|倉下忠憲
たまにこうして一ヶ月分の更新を振り返ると、頭おかしいんじゃないかなと思うくらい書いていますね。まあ、実際その通りなのでしょう。脳内で計算が止められない人、みたいなのと同じです。ある種の脳の使い方に過剰に最適化されてしまっている。これは、別に幸福とはぜんぜん関係ありません。何かを得たら、別の何かを手放しているのです。
とりあえず、知的生産的な課題は、プラットフォーム化する社会の中で、いかに”コンテンツ”ではない方向を目指すのかであり、同時に日常のアテンションがかき乱されるのを防ぐのか、という点で、そこに加えて「生成AIとどう付き合うのか」が非常に大きな問題として立ち上がってきています。
でもって、「成果物を生む」という観点でいえば、生成AIを使っちゃえばいい、という話なのですが、そうなると「脳はそのまま」なんですよね。これをどう考えるか。知的生産活動を、「生産」というだで捉えるなら、これを批判できません。だからこそ、新たな視座が必要になると考えています。
WEBノート
実験的に、2026年6月のWEBノートを振り返ってみます。
なぜ使いにくいシステムが生まれるのか──リゾーム(業務)とツリー(UI)の乖離を埋める情報建築の技術 (1/2)|ProductZine(プロダクトジン)
Obsidian’s Missing Why. Using the teachings of Thomas Aquinas… | by Ordo | Medium
The Zettelkasten Trap: Why PKM Systems Stop Producing Output
`ark`: A Personal Archive System, Part 2: A Day with the Archives – Jamie Todd Rubin
いわゆるPKM的なものは、生成AIを使おうが使わまいが、それは「システム」を作っていることに注意を向けた方がよいでしょう。そして、その「システム」は、自分のプロセスを支えるものである必要があり、そのプロセスは自分が欲している用途と合致している必要がある。
ド派手がノウハウが説得的に語られていると、自分の用途やらプロセスの理解までもが「説得」されてしまいがちです。それでうまくいったら奇跡でしょう(語り手と聞き手が同質の人間だったということなので)。
なので、自分のシステムづくりでは、まず「自分」の観察が大切です。自分が何をやろうとしていて、実際にどう手を動かしているのか。これは「業務システムの開発」をイメージしてみたらいいと思います。現場をまったく見ずに、「スーパー? だったらこういうシステムでいいでしょ」みたいに開発されたシステムが使いやすいはずはないですね。
というわけで、システム作りはまず観察からです。
(というのをニュースレターで書くよりも、たぶん同じCosenseにまとめた方がいいのですがひとまず実験として)
読了履歴
2026年06月05日 『転生程度で胸の穴は埋まらない2 (電撃文庫)』
2026年06月08日 『建築という対話: 僕はこうして家をつくる (ちくまプリマー新書 279)』
2026年06月10日 『その謎を解いてはいけない 黒歴史について語るときに我々の語ること (実業之日本社文庫)』
2026年06月13日 『歩くと心が軽くなるのはなぜか ――散歩の心理学 (ちくま新書 1917)』
2026年06月16日 『転生程度で胸の穴は埋まらない3 (電撃文庫)』
2026年06月24日 『プロトコル・オブ・ヒューマニティ (ハヤカワ文庫JA)』
2026年06月25日 『疎外論入門 (集英社新書)』
2026年06月29日 『口笛吹きと音楽の犬』
最近、『転生程度で胸の穴は埋まらない』を気に入っています。今は最新刊の4巻を読んでいるところ。私はライトノベルが好きですが、その中でも特に「暗い/昏いライトノベル」が大好きです。本シリーズもその路線です。
『建築という対話: 僕はこうして家をつくる (ちくまプリマー新書 279)』は、建築家である著者が何を考えて建築という仕事に取り組んでいるのかが語られます。プリマーらしく若者に向けたメッセージで、最近の斜に構えた(あるいは安全マージンを大幅にとった)メッセージとは違って、わりと熱いです。パッション。一方で、「願ったら叶う」的な単純な引き寄せマインドセットではなくて、多くの物事はままならないけれども(だからこそ)、意志を持つことの重要性が語られます。
『歩くと心が軽くなるのはなぜか ――散歩の心理学 (ちくま新書 1917)』は、散歩と心理学の本なのですが、私は「受験生」がカウンセリングを受けているという話がちょっとびっくりしました。著者は進学塾で学生を担当するカウンセラーとのことで、実体験を交えた話がいくつか開示されるのですが、今の大人(会社で働く人間)が抱えている「重さ」を、大学受験生も感じているのだなと思うと、社会の地続き感を思わずにはいられません。
『プロトコル・オブ・ヒューマニティ (ハヤカワ文庫JA)』は、ジャンルとしてはSFなのでしょうが、成分としては文学的要素の方が大きい作品でした。非常にパワフル。片足を失ったダンサーが、AI付きの義足を身につけて、「ダンス」を回復していく物語としてスタートするのですが、そこから親と子の関係が絡まって、物語が複雑化していきます。もし直近で介護で苦しい思いを経験されているなら、読むのがしんどい部分もあるかもしれません。しかし、それを踏まえてなお素晴らしい作品でした。生成AI時代に読まれるべき一冊だと思います。
『疎外論入門 (集英社新書)』は、疎外をキーワードにしてマルクスの思想を読み解いていく本で、わりとマルクス思想入門という趣がありました。ただ、著者の本を読んだのははじめてで、マルクス系の他の本をまったく読んだことがないので、本書への内容的な評価はまったくわかりません。とりあえず、個人的には知識社会における「疎外」は、生成AIと共に拡大するだろうな、とちょっと考えたくらいです。
『その謎を解いてはいけない 黒歴史について語るときに我々の語ること (実業之日本社文庫)』と『口笛吹きと音楽の犬』は、同じ著者の本なのかと目を疑いたくなるほど違いがあります。片方は、POPなノリの本格ミステリで、後者は青春物語+音楽(芸術)という構図。文体もかなり違っています(特に前者は誇張的)。とは言え、まったくぜんぜん違うのかというと、そういうわけでもなく、ある種のメタ的な感覚では通じ合うものを感じます。エンタメが好きなら「その謎」から、文学志向なら「口笛吹き」から手に取られるとよいかもしれません。
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