ノートの用途と生きることの三要素
三つの観点で全体を捉える
ここまでのアウトライン:
前回は、ノートの用途を6つのアーキタイプで整理しました。今回は、もう一段だけ階段を昇ってみます。
生きることの三要素
まずは、以下の図をご覧ください。
progress
keeping
taste
「progress」は何かを進めること、「keeeping」は何かを維持すること、「taste」は何かを味わうこと(楽しむこと)。この三つの観点がノートの役割にあるのではないでしょうか。
というよりも、この三つの観点は人が意識的に行う活動の性質であり、ノートという道具はそれを助けていると捉えられます。つまり、ノートが主役にあるのではなく、まず上記のような「生きることの三要素」があり、それを補助するためにノートが使われる、という構図です。
「ノートを書くのが好きなんだから、書いてるんだよ」という場合でも、それはtaste的性質を持っていると言えるでしょう。
この構図で示したいのは、6つのアーキタイプをさらに抽象化すると共に、ノートという道具を「生きる」という活動の補助として捉え直す視点です。
ノートについて考えるときに、ノートばかりに注目していてはより大きな構図を見失ってしまう点には注意が必要でしょう。
三つの円
さて、先ほどの図にはもう一つ特徴があります。それは排他的なカテゴリー(範疇)ではない、という点です。つまり、progressだったらkeepingではないし、keepingだったらtasteではない、という単純な関係になっていません。
progressでもありkeepingでもある、keepingでもありtasteでもある、というものが存在しえます。もちろん、progressだけのものもあります。だからといってそのすべてが均質ではないのです。
たとえば前回の6つのアーキタイプは、
学習(覚えようとする)→ progress
備忘(覚える代わりに記録する)→ keeping
趣味(生活を豊かにする)→taste
こういう対応が見られます。しかし、以下はそう単純ではありません。
管理(行動を方向づける)
創造(新しいことを考える)
記述(書くことで考える)
「管理」は、progressとkeepingの両面を持っていますし、「創造」はprogressとtasteの両面を持っています。「記述」は、すべての要素が薄い、あるいはすべての要素を密に持っているとも言えます。
なんにせよ、この三つの要素を立てたからと言って、縦割り行政的に「これはprogress。あれはkeeping」などと厳密にやる必要はありません。そうではなく、そこにある成分を検討すればいいのです。「これはprogressが高いな。あれはほとんどkeepingで少しだけtesteだ」といった感じで。
そのようなグラデーションがある捉え方ができれば、堅苦しさに嵌まり込むのを避けられるでしょう。
役割と使い方
という点を確認した上で強調したいのは、それぞれの性質において使い方は違うんだよ、という点です。
タスクリストを暗記しても仕方がないですし、英単語を住所録のように扱っても意味がありません。家族の記念写真は帳簿のデータベースとは違うものです。
今こう書くとすごく当たり前なのですが、デジタルノートだとそれらを包括的に扱えてしまうがゆえに差異が感じにくくなっているのではないでしょうか。あるいはハンマーを持ってしまった人のように、一番強い用途に合わせて他の情報も扱ってしまっていることはないでしょか。
わざわざこのような分類を検討しているのは、「情報の扱い方」の詳細度を上げるためです。言い換えれば、扱い方を適切に分けられるようにするためです。
具体的な利用法やツールの話から一歩引いて、「そもそも何をしようとしているんだっけ?」と考えてみることはわりと有効だと思います。


