すべてを集めて、どれくらい嬉しいか
分けた方がいいこともあります
ここまでのアウトライン:
今回は、Santa問題の「扱える情報の種類が多い」について考えてみましょう。
デジタルノートでは扱える情報が多いです。それが意味するのは、第一に「扱える情報のメディアタイプが多い」ですが、次いで「扱える情報の性質が多い」でもあります。
「扱える情報のメディアタイプが多い」とは、テキストだけでなく、画像ファイルや音声ファイル、動画ファイルといったものを扱えるということ。つまりマルチメディアということです。
一方で、「扱える情報の性質が多い」とは、資料だけでなく予定や計画やタスクといった未来の情報や、家族写真のようなアルバム的情報も扱えるということです。
一昔前のデジタルツール環境では、それぞれの情報の性質に合わせてアプリケーションを使い分けていましたが、Evernote以降は「総合ノート」的志向が強まり、一つのノートツールでさまざまな性質の情報が扱えることを謳うようになっています(現状、その極北はNotionと、サードパーティープラグインでカスタマイズされたObsidianでしょう)。
単純な利便性で言えば、一つのノートツールにさまざまな性質の情報が集まっていた方が嬉しいことは多いです。情報ツールを切り替える手間が減るだけでなく、一つのダッシュボードに総合的に情報を集めることができます。
カレンダーとタスクリストは似た情報を扱っていますし、カレンダーに記載されたイベント(たとえば会議)では、何かしらのノートを取ることも多いでしょう。それらがシームレスにつながった状態は、一種の楽園です。
そして、AとBは一緒に表示されると嬉しいし、BとCも一緒に表示されると嬉しいし、CとDも一緒に表示されると嬉しいし、と連関の輪を極限まで広げていけば、すべてが詰まった「オールインワン」なデジタルツールのできあがりです。
どこまで機能的か
とは言え、そこで実現される楽園は、パラダイスというよりユートピアに近いかもしれません。理念としての、あるいは理念だけに存在する理想郷。
実際、AとBとCとDが一緒に扱えても、AとDを一緒に使うことはほとんどないかもしれません。関連で言えば「遠い親戚」くらいの距離感です。そういうものがこぞって集まっている状態。
そうなると、いくつかの点で不都合が出てきます。
データの総量が大きくなる(インデックスの構築などに時間がかかる)
サジェストで絞り込むのに一手間かかる
タグが乱立する
ショートカットキーが足りなくなる
その情報に見合った操作やビューが得られない場合がある
それぞれの詳細な検討は後回しにするとして、部分的な手間が減る代わりに、違った不都合が生まれえることは意識しておいた方がよいでしょう。何かの点で便利になることが、全体としての便利さの向上につながるという保証はありません。逆の結果になることすらありえます。
さらに言えば、デジタルツールの場合、「分けていても、つながっている」状態が作れます。つまり、Aのツールで保存した情報を、Bのツールにつなげることができるのです。多くの場合は、「リンク」(URLスキームでファイルを開くことも含んでいます)を使うことでそれが実現できます。
また、ツールによっては、ワンステップの検索で複数のツールを検索することもできます。もしそれが可能であれば、分かれていても「あたかも一つのツール」であるかのように運用することもできます。
やたらめったら細分化して保存するのはさすがに効率が悪すぎますが、だからといって「一つのツールだけでやる」という逆の極端に走るのも違った非効率さを呼びかねません。適度なバランスを見つけることが大切でしょう。
最近では「生成AIに参照してもらえるようにする」という要件も入ってきており、情報の区分けは大きな課題になっています。
解法のアプローチとしては、「情報の性質やタイプを見分けて、適切なツールに割り振る」があるのですが、言い換えればそれは「情報」という概念への解像度を上げることを意味します。やや込み入った話なので改めて検討しましょう。

