先月の振り返り&2024年9月のサポーターページのご案内
9月に入りました。いよいよ秋めいてきましたね。台風の被害なども心配ですが、できることを淡々と進めていきましょう。
今回も、先月の振り返りをお送りしつつ、末尾にKnowledge Walkersのサポーターさん向けページのURLをご案内しております。
活動報告
08/01:iPhoneのリマインダーとショートカット - by 倉下忠憲@rashita2 - トンネルChannel
08/02:読んだ本について何か書く|倉下忠憲
08/09:着るものとしての本|倉下忠憲
08/12:Notionは何ができるのか? / ハンドメイドなリストとオートマティックなリスト / 読む書く考えるの順番|倉下忠憲
08/14:OBTF - 倉下忠憲の発想工房
08/14:Campus S5リングノートハーフ|倉下忠憲
08/19:メモからノート / 引っ越しクエスト / 本を読むと賢くなった気がする / メディアの向きと情報の流れを再編する|倉下忠憲
08/21:ノートで記号を踊らせる|倉下忠憲
08/26:ダブルダイヤモンド - 倉下忠憲の発想工房
08/26:庭づくりというメタファー - 倉下忠憲の発想工房
08/28:歴史を感じる手帳|倉下忠憲
全体的に引っ越しで忙しく、更新頻度はやや低めでした。今月も同様の傾向が続くのではないかと思われます。
あと、最近「情報整理」というのが自分にとっての大きな柱なのではないかと思い、その観点で情報整理を進めています。再帰的です。
読んだ本
今月はびっくりするくらい、本を読んでおりません。
2024/8/3 『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
2024/8/7 『テトラド2 統計外暗数犯罪 (角川文庫)』
2024/8/15 『どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)』
2024/8/31『本の神話学-増補新版 (中公文庫 や 8-3)』
ライトノベル
2024/8/1『Re:ゼロから始める異世界生活 37』
2024/8/26『神々が支配する世界で〈上〉 (電撃文庫)』
2024/8/29『神々が支配する世界で〈下〉 (電撃文庫)
2024/8/29『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編10』
Kindle Unlimited
『チーズはどこへ消えた?』
映画・動画
『北極百貨店のコンシェルジュさん』 Netflix
『響けユーフォニアム』第三期
いくつかピックアップして、コメントを添えておきます。
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』は、タイトル通りまったく新しい切り口の論文執筆術を語ってくれます。「ズバッ」という効果音が脳内で鳴り響くくらいの切れ味が鋭い本で、非常に役立つ内容だと思います。
一方でこれは徹頭徹尾「アカデミック」な文章を書くための方法であり、もう少し包括的に言えば「プロ」の作文技術です。ある意味では、尖った方法。
だとすれば、尖っていない、プロではない、「市民としての作文技術」というのも必要なのではないかと感じました。新しい成果や主張をアピールするためではない、研究的貢献を生み出すわけではない、単に自分の考えや思いを整理して、文章として表すための基礎的な技術。そういう方法もまた同時に開発されるべきでしょう。
『どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)』は東野圭吾のミステリ小説。非常に奇妙な構図のストーリーであり、作品内では事件が解決されているのに、犯人の名前が読者に向けて明示されないというロックな作品になっています。特に自慢というわけではありませんが、私はちゃんと犯人がわかりました。
なんとなく東野圭吾というとガリレオシリーズのイメージがあったのですが、本作でそのイメージがすこし変化した気がします。他の作品も読んでみようと思います。
『本の神話学-増補新版 (中公文庫 や 8-3)』は読了したものの、感想を書けるレベルまでは理解できていません。本(books)というものが、知の発展にどういう影響を与えたのかというのが、さまざまな歴史的出来事と共に語られるのですが、それと同時に著者もたくさんの本からそういう着想を得てきたということで二重の構造が感じ取れます。論理的な難しさというよりも、扱っているフィールドが大き過ぎて自分の手には扱いきれない的な難しさがある本です。
『チーズはどこへ消えた?』はかなり有名な自己啓発書で、たまたまKindle Unlimitedで見かけたので読んでみました。かなり短いのでさっと読めますが、たしかに印象に残る話になっています。
簡単にまとめると、最初は努力して手に入れた成果もそれが当たり前のものだと思ってしまうと変化ができなくなる。すると環境の変化についていけず苦しい思いをすることになる。だから変化を恐れず、進んでいきましょう、というメッセージが伝えられる本です。で、そのメッセージは基本的に正しいのだと思いますが、「そのようにはできない人」はどうするのかという問題があって、本書では「そういう人はどうしようもない」という形で切り捨てられていて、まさに自己啓発=自己責任論の構図が立ち現れているなと思いました。たとえばこの考え方が政治の領域で発揮されたらかなりヤバいでしょう。あるいは、個人が他者をみつめるまなざしの中に、こういう前提が無自覚に入り込んだとしても、倫理というものが歪んでしまうことは想定できます。
ここが難しいところです。個人が、自らの裁量において、自分の生き方を決める上で「自己啓発」は有用なのですが、それ以外の分野まで当たり前のようにその価値観が浸透しはじめるとヤバさが出てくる。それを防ぐために一定の「仕切り」を設けることが必要だと感じます。
(本編はここまでです。以下では有料購読してくださっている方向けに、Knowledge WalkersのサポーターページのURLを案内しております。ご興味あれば、ご購読を検討くださいませ)。
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