以前紹介したTekenote。
立ち上がったばかりのツールなので頻繁に機能追加が行われているのですが、注目したいのはアイコンによる絞り込みです。
以前紹介したように、Tekenoteでは各カードにアイコン(絵文字)が設定できます。
(?の絵文字を設定したところ)
カードの一覧表示でも、このアイコンはかなり大きめに表示されていて、カード識別の視認性を高めてくれています。
新しい機能では、視認的な区別だけでなく、これを検索のキーにできるようになりました。右上についているアイコン風のボタンがそれです。
たとえば、「本」のアイコンで絞り込んでみましょう。
このように本のアイコンがつけられたものだけがフィルタリングされました。
同じように「若葉」のアイコンで絞り込んでみます。
できました。
こんな感じで、カードにつけたアイコンでフィルタリング可能になった次第です。
では、ここから二つ話を立ち上げてみましょう。
検索の段差づけ
確認したように、以前のバージョンでもカードにアイコンは設定できていました。そして、視覚的にカードの識別には役立っていました。カードのメタ情報ではあったわけです。
しかし、逆に言えばそれは「視覚的」に情報を探すときにしか役立っていませんでした。言い換えれば、人間が目検索をするときにしか働いていなかったのです。
一方で、現状ではそのアイコンをキーにして「検索」できるようになっています。デジタル処理が可能になったわけです。
メタ情報を付与しているところまでは同じでも、その情報が検索対象になっているかどうかで情報の利用に違いが出てくる。
パソコンユーザーにとっては当たり前の話かもしれませんが、この点はデジタルノートを考える上で非常に重要なポイントになってくると思います。
たとえば、Cosenseでは全文検索が主力ではなく、タイトルによるクイックサーチが主力です。で、クイックサーチでは本文のテキストは検索対象になっていません。だからこそ、大量の情報を保存していても、かなり絞り込まれた条体で検索することができます。
これも検索対象の違いを活かした機能だと言えるでしょう。
何を絵文字で表すか
さて、今回アイコンで絞り込めるようになったわけですが、だとしたら、「何を」アイコンで表すのが好ましいでしょうか。
アイコンがメタ情報を添えるものだとして、どんなメタ情報の選択肢があるのかという問いで考えればいいわけですが、まっさきに上がるのが「カテゴリ・ジャンル」でしょう。
たとえば、知的生産の技術に関係するカードなら、ペンのような絵文字にする。運動に関するカードなら、人が走っている絵文字にする。そういう使い方です。言い換えれば、意味的(セマンティック)な分類に対応させる。
この方法は、一見うまくいきそうですが、二つの理由で問題が生じます。
一つは、一枚のカードが複数のカテゴリ・ジャンルに属することが少なくない、という点です。たとえば運動が知識労働に与える影響、みたいなカードに直面すると頭を悩ませることになるでしょう。
もちろん、自分にとってより大きな意味はどちらになるのかを判断すれば、一つのカテゴリ・ジャンルに属させることは不可能ではありません。問題があるとすれば、後の(未来の)自分がその判断を思い出せるかどうかですが、思い出せなければ別の方で探せばいいだけで、一応は対処可能な問題ではあります。
もう一つの理由は、より深刻です。単純に言えば、時間が経つほど使いたくなるカテゴリ・ジャンルの数が増えてくる、ということです。当然それに対応させる絵文字の種類も増えてくるわけですが、ある段階を超えると、その対応を覚えておけなくなるのです。
こうなると、アイコンを見てもそれがどんなジャンル・カテゴリを意味しているのかが把握できなくなりますし、情報を絞り込むときにそのアイコンを使うこともできなくなります。
よって、ジャンル・カテゴリで情報をまとめる場合は、アイコンではなくカードによるグルーピング(リンクでまとめる)を使うのがよいでしょう。
種別を表す
では、私はどうしているかというと、「種別」をアイコンで表しています。
着想→若葉
カードのまとめ→黄色の本
総合インデックス→青色の本
疑問→?
書きたいネタ→ペン
意味的(セマンティック)な分類ではなく、性質的な分類です。
上記以外だと、カンバン方式の「TODO」・「進行中」・「完了」なども性質的な分類だと言えます。
こうした仕分けは、重複する可能性が著しく低く、また作成されるカテゴリがグループを形成しているので覚えやすいメリットがあります。たとえば「進行中」があれば「完了」があることは容易に推測できますね。記憶を全開にする必要がありません。
また、Tekenote上ではアイコンの変更が容易に可能なのですが、それはそのままカードの性質の変化に併せてアイコンも変更していけることを意味しています。たとえば、着想として作られたカードが、書きたいネタに変更されるといった具合です。
こんな感じで、情報に付与されるメタ情報にもいくつかのタイプがあります。それらを情報整理ツール上でどのように表現していくのかが、デジタルツール運用での主要な問題になっていくでしょう。