新しいWebサイトのアイデア2(2)サブモジュール型
前回は、GitHubを使った持ち寄り型のサイトについて考えた。散らばる個人の力(コンテンツ)を集めるには良い方法だと思うのだが、一つの問題は、そうしてできあがるサイトが、散らばる個人のものではない、ということだ。
一つのサイトがあり、そこに記事を寄せてもらう形になる。そのサイトは、主催者である人間がドメインを持ち、そのドメインパワーはすべて主催者のものとなる。
もちろん、そこから発生する利益を還元する仕組みを設ければいいのだが、金銭的利益とドメインパワーを有すること似て非なるものである。その意味で、そのサイトにコンテンツを寄せてもらうのは難しいかもしれない。「だったら、自分のサイトにアップするよ」と考えるのは、最近のWebのインセンティブ設計から言って非常によくある結論だろう。
そこで、GitHubについて調べてみると(なにせほとんど知らないのだ)、サブモジュールという仕組みがあることがわかった。これを使えないだろうか。
まず、新しいサイトのリポジトリ(X)を作る。これは欠かせない。一方で、散らばる個人自体(a,b,c……)も、それぞれにサイトを作り、そのリポジトリを作る。この点が異なる。個人はそのサイト(a)に記事をアップしていけばいいのだが、特定のテーマに関しては話が変わる。
たとえば、新しいサイト(X)のリポジトリに「Evernote」というフォルダがあるとしよう。そのフォルダを、個人のサイト(a)のサブリポジトリとして引き込むのだ。で、そこに記事を追加する。で、push(a用)とpull request(X用)だ。
こうすると、ネット上には同じ記事が二つ存在するようになる。一つは、個人のサイト(a)のコンテンツとして、もう一つは新しいサイト(X)のコンテンツとして。
一方で、記事を書く人は二重の管理をする必要はない。単に一つの更新に対して、pushとpull requestを送るだけでいい。
こうすれば、新しいサイトにはテーマ別に記事が集まってくるし、それぞれの個人サイトにもまた記事が集まり、ドメインパワーの育成は阻害されない。
以上はあくまで思考実験であり、この通りにやればうまくいくのかはわからない。しかし、抽象的に言って、このようなモデルで運用できれば、個人が個人のサイトを作りながら(それぞれの島を作りながら)、情報を集約的に閲覧するためのサイト(諸島)も作ることができる。
現状のGoogle検索では、個人が小さなドメインで情報発信してしまうと、どうしてもちりぢりになってしまう情報が見つけ出せない問題がある。しかし、大きなプラットフォームに載せてしまうと、ドメインパワーが育てられない。その葛藤をなんとか解決したいわけである。
どういう方法がこの問題を解決してくれるかはわからないが、それでも発信者にとっても受信者にとっても使いやすいインターネットを目指すなら、これまでとは異なる仕組みが必要となるだろう。