これまでObsidianの導入について書いてきましたが、一旦ここまでです。TemplaterやDataviewの使い方など、マニアックな話はいくらでもありますが、そういう話を広げれば広げるほど、「Obsidianって導入が難しいんですよね」となってしまうので、オタクの早口トークは控えておきます。
その代わり、Obsidianを使っていく上で意識しておきたい指針を一つ提示します。それが「自分のインデックスを育てる」です。
倉下のインデックス
倉下のhome.mdをご覧ください(左の縦長ウィンドウです)。
[[🏠2025年ノート]]
[[Do Processing]]
[[Knowledge Walking]]
[[自由ノートindex]]
[[Writing Canvas]]
[[Big Browser]]
[[仕事データベース]]
[[Archive Page]]
これらは、倉下がよく使うノートへのインデックスとなっています。それぞれのリンクは内容が書かれているページもあれば、さらに他のインデックスになっているページもあります。なんにせよ、これらが倉下の情報整理の主要となるサブジェクトであることは間違いありません。
じゃあ、これらの項目を他の人が使ったうまくいくかといと、やはりそうではないでしょう。たとえば、知的な生活を送るつもりがない人は「Knowledge Walking」なんて無用の長物ですし、タスク管理が大嫌いという人ならば「Do Processing」は目にも入れなくないでしょう。日常的に文章を書かない人は「Writing Canvas」を開くこともないと思います。
ノートの用途でも書きましたが、一口に「デジタルノートの使い方」といってもその内実は多様です。そして、内実に合わせて適切なインデックスも変わってきます。言い換えれば、自分が扱う情報において何が主要であり、何がそうでないのかは皆違っているのです。
だから、「自分のインデックス」は自分でつくるしかありません。
「つくる」から「育てる」へ
しかし、それは言うほど簡単なことではありません。ノート生活を始める前は、すべてがそのときに思い出せる記憶頼りであって、そもそも自分が何を主要に扱いたいのか、そうでないのかの情報がありません。
その感覚のまま大分類を作っても、的外れなものができあがるでしょう。多くの情報整理活動が序盤は盛り上がるのにその後続かないのには、そういう理由もあります。何が重要なのかが、自分でもわかっていないのです。
しかし、何かを始めるためには、どこかから始めるしかありません。たとえその場所が間違った地点であろうとも、です。
だから最初は自分が主要だと思っている項目を並べてみてください。そして、使い続けてください。そうしたら、「あれっ、これって思ったほど使わないぞ」というものが出てくるでしょう。そうしたら、作り替えればいいのです。
どうやって?
リンクを差し替えて、です。
フォルダ構造ではなくリンク構造で統治していれば、インデックスを書き換えるだけで済みます。
たとえば「自由ノートindexはさほどいらないな」と気がついたら、「Writing Canvas」の中にそのリンクを移動すればいいのです。逆によく使うページがあるならば、home.mdにリンクを移動すればいいでしょう。
もし「仕事データベース」の形が気にくわないなら、「仕事データベース2」を作ってリンクを差し替えればいいのです。その際に、仕事データベース.mdを削除する必要すらありません。単に、homeからなるインデックスのネットワークにリンクを乗せなければ、捨てたも同然になるのです。
そんな感じで、使いながら少しずつしっくりくる形にシフトさせてください。その際「自分によって主要なものはなんだろう」と常に検討してみてください。先回りしてその答えを知ることはできません。むしろ、実際に情報を使う経験(その大半は失敗の経験)を経て少しずつわかってくるものなのです。
リンクベースで情報を整理していくことは、そのような変化を気楽に行えるという大きなメリットを持ちます。
実際、一度「まあ、これでいいか」と思える形になったとしても、三ヶ月も経てば別の形を欲していることは珍しくありません。つまり、「つくっておわり」ではなく、それは「育て続けていく」ものなのです。
まだまだ道半ば
今回のお話は、Obsidianだけに限定されるものではありません。どのようなデジタルノートであっても、一番最初に「完成形」を作り、それを単にアップデートして使っていくというやり方には無理があります。
最初はよくわかっていない状態であり、そこから少しずつ理解が増えてきます。ツールについての理解だけでなく、自分が何をしようとしているのかの理解も増えるのです。そして、その理解が根本的であればあるほど、対応する情報整理の構造も抜本的な変化が必要となります。
だから柔らかく捉えましょう。
こうしたアプリケーションはまさに「ソフトウェア」なのですから。