ルーマンの手法の胆は、ナンバリングです。
カードを使った知識整理・思考整理の手法はルーマン以前でも行われおり、情報を操作可能な対象にするという原理はみな共通しています。ルーマンがすばらしかったのは、そこに独自のナンバリングシステムを導入したことです。
こういうやつですね(参照)。
このナンバリングシステムによって、本来バラバラで順番というものを持たないカード群に一つの配列を与えると共に、その配列自体に後から要素を追加できるという操作可能性を与え、さらに一つのカードを別の議論でも参照できる複数的な構造化の可能性を与えました。
よくルーマンの方法をデジタル的に解釈している人が「ツリー構造は不要」みたいなことをいっていますが、私の目が極端悪いのでない限り、上のような情報の配置はどう見ても「ツリー構造」です。ツリー構造によって議論の展開を支えていた。というよりも、議論の展開はツリー構造によってしか支えられない。
(ファイルの整理においてフォルダが不要だということと、議論においてツリーが不要だということをごっちゃにしない方がいいです)
話を次に進めていく数字の加算と、話を掘り下げていくアルファベットの付与。この二軸で「考え」を保存していくことは、改行とインデントを持つアウトライナーが作るツリー構造とまったく同じです。
ルーマンはカードによってそうしたツリーを構成しながらも、別の形のツリーを作れる可能性を常に担保していました。つまり、ツリーを否定したのではなく、固定的(超越的)なツリーに思考が縛られるのを否定したのです。むしろさまざまな形のツリーを作れるようにした。ハイパーツリーです。
というわけで、Zettelkastenでは「どんな風に並べるのか」が重要になってくるわけですが、何かを並べるのに最適なツールはまさにアウトライナーですね。
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