いわゆるinbox的な、つまりメモを一つの箱に集めるやりかたをしていると、長く使えば使うほど、縦に長くなっていきます。
こまめに「処理」していればこうはならないのですが、タスクに比べて「アイデア」の扱いは難しく、単にinboxから別の場所に移動させて終わりにすると、結局そこが長くなっていくだけなので問題をアウトソーシングしているにすぎません。
デイリー方式、つまり一日ごとの「箱」にその日のメモを入れていくやり方をすると、この問題は解消されます。少なくとも、縦に長くなることは避けられます。処理しなくても、「目に入らなく」なり、それは認知的に存在しないこととほぼ同義なうえに、デジタルだと検索すると「目に入る」のでいい感じに付き合っていけるというわけです。
で、それはそれで getting good なわけですが、実はそこで「メモを処理するとはどういうことか」というわりと難しい問題を回避している点には注意を向けた方がいいでしょう。
今回は実際にそうした「メモの処理」をやってみます。
メモの処理
まず、上からメモを読み返していきます。
すると、一人の同じ人間が取っているメモなので、何かしら似た話題が出てきます。
上の画面では「WorkFlowy」「プロジェクト」に関するメモがいくつか見つかりました。端的に言えば、WorkFlowyにおいてプロジェクト的なものはどう扱うのか、仮にそれがWorkFlowyで適切でないならばどんなツールでやっていくのか。そういうことを私が考えたいと思っていたのでしょう。
せっかくなので、「WorkFlowy」でWorkFlowyを検索してみます(ややこしい)。
これは検索結果なので、一ヶ所に集中して見えますが、実際は縦に長いメモのさまざまな場所に散らばっていたメモです。それがひとまず集合した格好。これらをさらに眺めると、WorkFlowyにおいて、プロジェクト的なもの、タスク的なものをどう扱うのか、ということを自分がよく考えていることが見えてきます。一度きりの破片ではなく、全体を構成する断片くらいの数が見つかっています。
だったらそれを「まとめてみる」とどうなるでしょうか。
一つ上の階層を作り、そこに先ほど見つけた項目を(関係ありそうなものに限定して)取り込みました。
まだまだ内容はバラバラです。ここからさらに「行動の情報を扱うアイデア」「分類についてのアイデア」などにわりふって、項目を再構成することができるでしょう。構造の作りかたはいくらでも考えられますが、とりあえず自分が書き並べたメモ群を眺めて、しっくりくる形をとればいいでしょう。
で、この親項目の閉じてしまえば、これらは目に入らなくなります。視界から消えるのです。しかも、単に消えただけではありません。つまり、客人が急にきたので、部屋に散らかっていたものを押し入れに押し込んだのではありません。一定の「整理」が成されています。「WorkFlowyの使い方について考えた項目はここに集まっている」という状態を作ったのです。
だから、視界から項目を消せるとともに、意識のうちでもこれらの項目群の存在をバラバラに意識する必要はなくなります。「WorkFlowyの使い方について考えた項目」を探したいと思えば、ここを開けばいいと分かっているからです。認識においてチャンク化がなされた。そういう形で情報を整えることが、「情報整理」であり、メモの処理で行われたら嬉しいことの一つです。
注意点
すぐにおわかりになると思いますが、上記のような「整理」は、メモを取ってすぐにできるものではありません。ある程度、メモの蓄積が増え、破片が断片であるかのように振る舞ってはじめて可能です。
ということは、どういうことでしょうか。
そういう整理ができるまでは、その箱の中はずっととっちらかったまま、ということです。十分な量が貯まる前に整理してしまうと、ただただカテゴリが増え、自分の認知と中身の対応が行われません。形だけのチャンクが生まれるだけです。それは整理的観点から言えば、失敗でしょう。
つまり、指針としては「整理するにしても、焦って整理してはいけない」がポイントです。放置しっぱなしはメモの原生林を発生させますが、手を入れ過ぎるとハコモノ行政になってしまうのです。その間を揺蕩うのがポイント。
しばらく放置し、たまに時間をとって中身を整える。
そういうことができたら、long-long-inboxともうまく付き合っていけるでしょう。