かつてのWebが伸ばしていた手
https://sasakill.substack.com/p/359/comments
上の記事を読んで少し考えた。
昔のWebは、まず個がバラバラに存在していて、それをなんとかつなごうとしていた努力やツールがあった。WebリングとかYahoo!のディレクトリとかはその一例であろう。たくさんの島があり、それに橋を架けていく感じ。
一方で現在のWebは、まず大きなプラットフォームがあって、その中でいかに自分の島を作るか、という努力やツールが主な勢いになっている。個々の「個」をつなぐ発想は弱く、むしろ他の「個」は邪魔なライバルでさえあるかもしれない。なぜなら、大きなプラットフォームのパイは一定サイズであり、その切り分けが勝負になるからだ。
その点、昔のWebでは、そもそもぜんぜん別の島からスタートしているので、「島(シマ)の奪い合い」みたいな発想にはならない。むしろ、つながりは、普段は訪れない観光客を連れてきてくれるような感覚があった。
どちらがいいのか、という話はさておき、それぞれが閉じた個として独自性を追求しつつ、それがつながりによって、化学変化を起こして、新しいものを生み出していく一つの情報の流れがあったように思う。僕は、その風景がとても好きだった。少なくとも、同じメソッドを使って「頭一つ抜ける」ためだけの競争をしているよりは、はるかに楽しめた。
プラットフォームの中に個を作るのか、それともまず個を作ってそれをつなぐのか、というのは、基本的にぜんぜん別物のアプローチになるだろうと思う。でもって、多様性を許容できるのは、後者だと個人的には感じる。それが「正しい」とまで力説できる証拠は、いまのところないのだけれども。