準備が終わったので、実際に使う話に入りましょう。
ところで、「Obsidianを使う」ってどんな意味でしょうか。もちろん、Obsidianというツールを使うことですが、そこに暗黙の前提が込められていることが多々あります。
たとえば「(ナレッジマネジメントのために)Obsidianを使う」といった感じです。つまり、何のためにそれを使うのかという用途が織り込まれてしまっているのです。
その状態だと、「Obsidianの使い方」というのも、実際は「(ナレッジマネジメントのための)Obsidianを使い方」を意味することになります。これが会話をややこしくするのです。ある人は「(ナレッジマネジメントのための)Obsidianを使い方」について話しているのに、別のある人は「(趣味を楽しむための)Obsidianを使い方」について話している。
ぜんぜん違う用途なのですから、運用についての適切さも変わってくるのは当然です。たとえば、家計簿の管理とスケッチブックの扱いについて、どちらも同じ「ノート」というツールを使っているから、同じように議論できるかというとかなり怪しいでしょう。最低限の共通項はあっても、全体としての運用は大きく違うはずです。
なので、Obsidianを実際に使っていくためには「何のために使うのか」を意識することが大切になります。
ところがそれが簡単ではありません。いや、簡単な人とそうでない人がいる、というのが正確でしょうか。熟練の知識労働者は用途が明確なのに対して、情報化社会の市民はそれが明確ではない、という対比はあまりにも安直ですが、そう大きくはズレていないでしょう。情報を使うことは念頭にあっても、情報を使って何をしたいのかがまだはっきりしていない。
これはもう仕方がありません。生まれたばかりの子どもに「将来何になりたい?」と尋ねてもあまり意味がないのと同じです。経験を得ないと、やりたいことも見えてきません。
だから、「自分はこれらのツールを使って何をしたいのか」を意識しながらも、まずはやってみる、というのがスタート地点になるかと思います。どういうことができるかがわからないと、そもそも選択もできないわけですから、まずはいろいろやって経験値を増やすことが最初の目標です。
というわけで、次回は「さぐりさぐり始めるとしたら、どこから始めるか」を考えてみます。