以下の記事がアンビリバボでしたので紹介します。
◇Obsidian Dataview and Folgezettel | by Steven Thompson | Apr, 2025 | Medium
ObsidianでZettelkastenを実践しようとしたときに生じる問題とその解決テクニックが提示されています。
Zettelkastenは議論を整える
言うまでもなく、Zettelkastenはリンクを使って知の構造を表現するものではなく、複雑な議論の流れを整える技法です。「議論の流れ」という言葉からわかるように、そこでは順番・配置がチョー重要です。単に複数の要素がネットワークでつながっているのではなく、それ全体が一つの「議論」の流れになっていることがポイントなわけです。
その流れが複雑に分岐し、また他と関連しあっている状態を扱うためにリンク(ハイパーリンク)が役立つというのがデジタル版Zettelkastenの真骨頂でしょう。
というわけで、書かれたカードはある「並び」に配置される必要があるわけですが、その際に二つの方法があります。一つは、並びを管理するためのページを別途作り、そこにリンクを並べていく方法。MOCと呼ばれる方法はこちらに属します。
もう一つは、ファイル名に numbering hierarchy を使うこと。ルーマンがアナログのカードに使っていたナンバリングの規則をそのまま適用するわけです。そうすればファイル・エクスプローラーなどでファイル一覧をみたときに、そこに議論の流れが再構成されることになります。
どちらのやり方であっても別によいのですが、問題はあるカードを見ているときに、その議論の流れが見えなくなる点です。MOCやファイル・エクスプローラーを合わせて見る必要があるのです。
カードそれ自身に
上記の記事はそれを numbering hierarchy + dataveiwで解決しています。
まず、それぞれのカードには接頭辞でnumbering hierarchyを与える。その上で、それぞれのカードにdataveiwを書き込む。記事でも書かれていますが、以下のようなdataviewです。
```dataview
> LIST
> FROM “9000 Master Databases/9800 Zettelkasten”
> WHERE startswith(file.name, “3.6b2”)
> SORT file.name asc
```
「ファイル名が、3.6b2 から始まっているファイルを抜き出して並べよ」というもの。3.6b2 はこのファイルについているナンバリングです。
そうすると、どうなるか。記事から画像を拝借しますが、
議論の流れとして「3.6b2」の後に位置づけられたカードがすべて列挙されるのです。カード自身の中に、後続のカード一覧が出来ている。
こうすると何が嬉しいのかと言えば、dataviewを使っているので、移行の編集作業が必要ない点です。つまり、新しく3.6b2b のカードを作ったら、自動的にこのリストの内容も更新されます。MOCの「管理」が不要なのです。
書き手は、「このカードはどこに位置させるのが適切か」だけを考えて番号を振ればOKです(もちろん、それが一番頭を使う作業であることは言うでもありません)。
calloutに格納する
でも、そんな風にずらずらとリストが表示されたら邪魔なんじゃない?とちょっと思ってしまうわけですが、それをcallout boxを使って制御しているのがこの方法の面白いところです。
つまり、dataviewの記述をcallout boxの中に入れることで、リストの「開閉」を可能にしているのです。別に難しい話ではありません。calloutに続けてdataviewを記述すればいいだけです。
◇ObsidianのCalloutsにdataviewを埋め込む | 倉下忠憲の発想工房
項目の開閉は見出しなどを当ててもよいのですが、callout にするといかにも「外部の情報を持ってきています」感が出て見た目の収まりが良くなります。これは、Zettelkastenとは関係なく真似したいテクニックですね。
並べてみる
私はZettelkastenを技法としてオススメするわけではありませんが、もし実践するならば、単にカードをつくるのではなく、そうしたカードを使って議論を構成することを意識するとよいと思います。
部分ではなく、全体。
焦点はそこです。