Obsidianの準備:リンクからノートをつくるようにする
デジタルノート研究会 vol.063
フォルダ・ファイルを使った階層構造管理ではなく、リンクを主体とした相互参照構造管理(Interconnected Information Structuring)の場合、何はなくともリンクが重要になってきます。
あるノートと、別のノートをつないでおくこと。
そうした状態を維持するために、「最低一つはリンクを心がける」という指針が有効です。何かしらノートを作ったら、作って終わりにするのではなく、何かしら別のノートとの接続をする一手間をかけておくわけです。
(そういう一手間を、fairy's workと呼んでおきましょう)
接続を担保する関係はいろいろあって、親子関係やら兄弟関係など特に指定はありません。似ているノートとかでも十分です。どういうものであってもいいので、とりあえず「最低一つはリンクを心がける」。
あくまで心がけなので、つけられなくても大丈夫です。いろいろ考えた結果、何もつからないならそれはそれで一つの成果でしょう。言い換えれば、この作業は「そのノートについて考える」という行為を促しているわけです。
新規ファイルの作り方を意識する
さて、「最低一つはリンクを心がける」という指針をどうあがいても達成できてしまうやり方があります。それが、「新規ノートを空リンクから作る」という運用です。
難しい話ではありません。Obsidianでは、command + N などで新規ファイルの作成が行えるのですが、それを使わないのです。その代わりに、新しいページを作りたくなったら、どこか開いているページにそのページへのリンクをつくることでそれを実現します。
たとえば「メルマガで今後何を書いていくか考える」というノートを作りたくなったとします。その際は、以下のようなリンクを作り、そのリンクを開きます。
すると、新規ファイルが作成されます。command + N を押さなくてもファイルの作成が可能なのです。その上です。
このやり方をすると、必ずバックリンクにおおもとのページが表示されることになります(バックリンクとは表示されているページのリンクを持つページのことで、この場合は、「2025-02-25」がそのページとなります)。「最低一つはリンクを心がける」が見事に達成されているというわけです。
もちろん、これ以外にリンクを新しく追加しても構いません。「最低一つ」なだけであって、「一つだけ」ではないからです。でも、そういうのをつけようとつけまいと最低保証がなされている、というのが空リンクによる新規作成のメリットです。
さまざまな派生元
今回紹介したのは「デイリーノート→個別ノート」という形でした。デイリーノートで空リンクを作り、そこからファイルを生成するという構図です。デイリーノートは(原理的に)毎日使っているはずなので、新規ファイルの作成拠点としてうまく機能してくれるわけです。さらに言えば、デイリーノートから作成すると「いつ作ったのか」というタイムスタンプとしても機能します。
しかし、派生元はデイリーノートに限りません。たとえば、引用を書き留めるノートを作ろうとするときに、それをまとめる引用総合ノートがあれば、まず引用総合ノートを開き、そこに空リンクをつくる形でページを新規作成する、というやり方もありえます。
もちろん、「最低一つはリンクを心がける」が徹底されているならば、「引用総合ノート」もまたどこかのページとリンクしているでしょう。ということは、そのページを開き、そこから引用総合ノートを開いて、という2ステップで開くことも可能です。
こんな感じで、相互参照構造管理をしていると直接そのページを開くだけでなく、リンクを辿ってページを開くこともできます。単一ではなく複数の経路があるわけです。
そういう経路の複数性を担保する上でも、「最低一つはリンクを心がける」という指針、あるいは「新規ノートを空リンクから作る」という運用は役立ちます。もちろんこれらは絶対的なルールではありません。
先に command + N で新規作成してからリンクを整備してもいいですし、総合ノートに直接リンクを置くのではなく、dataview(これは後ほど説明します)で一覧をつくる、というのも立派なObsidianの使い方です。そのあたりは、何をどうしたいのかというニーズに合わせて選択してください。
でも、とりあえず入門時の指針として、「最低一つはリンクを心がける」はわりと有用だろうと個人的には感じています。



