たまに「Obsidianは階層型ツールだ」という話を耳にするのですが、倉下の印象はまったく逆です。むしろ階層を使わなくても使えるツールだという感じ。
たとえば、WorkFlowyなんかは階層を作らないと始まりません。そういうツールは階層型ツールだといってもいいでしょう。でも別にObsidianは「ファイル」を階層で管理しなくてもOKなのです。
全部リンクでいい。
極端な思考実験
たとえば、以下のようなファイルエクスプローラーがあったとします(倉下のメインのvaultではエクスプローラーを非表示にしているのでテスト用vaultです)。
これらの役割はなんでしょうか。ファイルを探し、開くことです。
では、このvaultに次のようなページを作ったとしましょう。
このページの役割はなんでしょうか。もちろん、ファイルを探し、開くことです。
すごく単純化して言えば、あるページにvault内のすべてのファイルへのリンクがあるならば、そのページはエクスプローラーと似た役割を担えるのです。
このことをよく考えてみてください。
二つの違い
では、何が違うのでしょうか。
まずファイル・エクスプローラーは、ファイルを作成したら自動的に表示されます。一方で自作のインデックスは自分でリンクを追加しなければなりません。
次にファイルを・エクスプローラーはソート順を変更できます。アルファベット順だけでなく、作成日・更新日順のソートも可能です。
上記二つが、ファイル・エクスプローラーの大きな機能です。
逆に、自作のインデックスは何を登録するのかを自分で決められるというメリットがあるとも言えるでしょう。たとえば、デイリー用のノートはカレンダーからアクセスするから上記のindexには入れなくていい、といった判断が可能なのです。
さらに並ぶリンクの順番を任意に変更できます。「今週はこのページが重要だから、リンクをちょっと上の方にあげておこう」といった判断ができるのです。ソート順の固定ではなかなか難しいですね(プラグインで拡張は可能にしても)。
そして、最後にファイルへのリンク以外のものも並べられます。
こういう操作はファイル・エクスプローラーでは困難でしょう。
自動性が著しく悪くなる代わりに、操作性があがる。それがリンクによるインデックスの効能です。
リンクベースで使う
という点を考えて、リンクベースでファイルのオーガナイズを行えば、ファイル・フォルダの階層をまったく作ることなくObsidianを使うことが可能になります。
すべてのファイルが一つのフォルダに並んでいてもまったく問題ありません。自分が使う用途に合わせて、インデックスを作ればいいのです。ファイルの数が増えてきたら、インデックスを「のれん分け」すればいいでしょう。その二つもまたリンクでつないでおけば、ロストすることはありません。
「でもそれって階層型じゃないの?」
と思われたかもしれません。つまり、新しく「indexA」を作り、そのリンクを「_index」に加えたならば、「_index」→「indexA」が階層構造になっているのではないか、という疑問です。
その通りです。そこには階層構造を「見出す」ことはできます。でも、ファイルの実態はそんな風にはなっていません。それに、リンクですから「_index」←「indexA」の方向でリンクを繋げることもできます。これはもう階層構造的不自由さとは無関係な状態といえるでしょう。
ファイルベースであるがゆえに
Obsidianは、ローカルで使えるツールであり、しかもmdファイルで情報を管理します。おかげでバックアップやファイル操作もやりやすいですし、最近ではMCPに喰わせやすいといったメリットの話も聞くようになりました。素晴らしいことだと思います。
一方で、「ファイル」というものを扱うがゆえに、どうしても「ファイル・フォルダ」を意識したオーガナイズが行われやすい傾向もあります。情報を階層的に分類しなければならない、という先入観が生まれやすいのです。
でも、そんなことは全然ありません。フォルダを作って分類してもいいですし、しなくてもいいです。この「しなくても使える」という気安さがObsidianの良さだと個人的には思います。