Capacitiesの探究はわりと満足できたので、いったん別のツールに目を向けてみます。そう、Notionです。
Notionと私はけっこう心理的な距離が空いていて、これまで何度も使おうと思っては頓挫、使おうと思っては頓挫を繰り返していました。致命的に相性が悪い気がする。でも、なんだか無視することができない。不思議な存在感のツールです。
今回再びNotionを使ってみようと思ったのは、山本貴光さんが読書メモをNotionで取っておられるというのを見かけて、それだったらちょっとやってみっか、というミーハーな感じですが、個人的にこういうミーハーさは固定化しがちな自分の環境を揺さぶってくれる新しい風として機能してくれる側面もあるのでバカにしたものではありません。
というわけで、三度どころか四度目くらいのNotionリトライです。
構造の構築
もちろん、こういうときは以前作っていた構造はなるべく無視して、新しい気持ちでスタートするのが肝心です。
で、まず読書ノートを(真似して)始めることだけは決まっていたので、そのページを作ることからなわけですが、じゃあそれをどう「配置」するのかを決めなければいけません。
ここで驚くべき自分の変化に気がつきました。ほとんど何の苦労もなく、するっとその構造が決められたのです。
Knowledge Walkingというページを最上位に置き、その中に「01.読書ノート」という項目を作りました。正確には、/database full-page から新しいデータベースを作り、そこに「01.読書ノート」というタイトルをつけたのです。
そのデータベースページはこんな感じになっています。
上の二つが新しくつくったページで、三つ目のページは以前に作っていたページを移動してきたものです。
まずこの段階でCapacitiesの経験が生きていることがわかります。以前の私ならば、プロパティーにさまざまな書誌情報を入れ込んでいたでしょう。しかしこれは「読書ノート」なのです。言い換えれば、私にとっての「読書ノート」というオブジェクトです。そこに事細かく書誌情報を入れ込む必要はありません。もしそれが必要なら「蔵書リスト」などのデータベースを作ればいいでしょう。
こんな感じで、「その情報は自分にとって何であり、そこにはどのようなメタ情報が必要なのか」をわりと現実的なレベルで決めることができるようになったおかげで、データベースをシンプルに保てています。
兄弟項目のイマジネーション
さて、「Knowledge Walking」に、「01.読書ノート」という項目を作ったので、必然的に「02.……」は何になるだろうか、という思考が働きます。これがナンバリングという施策の効果です。数字は順番を含んでいるのです。
で、ぱっと思い浮かんだのは「思索ノート」でした。読書ノートが本を読んで考えたことを書くならば、それ以外で考えたことを書くノートも必要です。
まあそれはあとでデータベースをつくればいいかと考えていたところ、以前Notionを使っていたときに作っていた「トピックノート」というデータベース・ページがありました。その中身がまさに「思索ノート」としてふさわしかったので、ページのタイトルを替えて、この場所に配置した次第です。
ちなみに、「読書ノート」の三番目に位置していた『宗教の起源』の読書ノートページは、「『宗教の起源』の感想」として「トピックノート」データベースに入っていたものです。それをしかるべき場所に移動させた格好で、その他の過去ページも適切な場所に割り振って全体を整えました。
「Knowledge Walking」に並んでいるページのほとんどもそうして(新築されたのではなく)もともとあったものが移動してきたものです。
CapacitiesとNotionの対比
現状のNotionの最上位項目は以下のようになっています。
それぞれの紹介はまた回を改めて行いますが、最大のポイントは「Knowledge Walking」というページを立てたことで、自然と他の項目も定まったことです。私の中での「粒度設定スキル」が明確に向上していることが感じられます。それもこれもCapacitiesでの経験のおかげでしょう。
で、Capacitiesでは「オブジェクト」ごとに情報が区切られ、まとめられているというのが最大の特徴でした。で、NotionはCapacitiesではありません。言い換えれば、Capacitiesと同じようにNotionを使うのは何か違っているということになります。
以前の私なら、「読書ノート」は「ノート」という上位概念の下位に位置づけたでしょう。これはオブジェクト的発想です。でも、それをするならばCapacitiesの方がいい。であれば、Capacities以外のツールではどう扱うのがよいか。
そういう「〜〜でないとしたら」という発想で生まれたのが「Knowledge Walking」というページでした。これはカテゴリーと呼ぶべきなのか、エリアと呼ぶべきなのか、それとも別の名前が必要なのかはわかりませんが、少なくとも単一のオブジェクトをまとめる呼称ではありません。
読書ノートがあり、思索ノートがあり、英語の勉強ノートがあり、引用のリストがある。オブジェクトとしては雑多なものがまとめられています。ある個人的活動の領域に属するものが、オブジェクトの垣根を越えて集まっている。そういう感覚です。
私はここでNotionを礼賛したいのではありませんし、こういう使い方がNotion運用の最高のソリューションだという主張するつもりもありません。むしろ個人的な経験を通して得られた発見として、
細かく分け、揃えるノーティング
複数のものを統合するノーティング
の二方向があるのだ、という話を確認したいだけです。
とりあえず私は、Capacitiesというとことんオブジェクト特化なツールを経験した後で再びNotionを使ったことで統合型という視点を得ることができました。でもって、その視点で構築した最上位概念は今ところすごくしっくり来ています。
おそらくその最上位概念のすべてが「私のカテゴリー」という点が重要なのでしょう。その点はCapacitiesと共通していると思います。