自分なりに上のポッドキャストをまとめると、「フットワーク、ネットワーク、ジャストワーク」となる。
フットワーク(footwork)は「足運び」のことで、機動力を意味することもある。適切なタイミングで、小気味よく動けること。機敏さや、迅速さ、切り替えの良さが、新たなる機運を呼び込む。ちなみに、機敏とは機会に敏感ということで、「乗り遅れなさ」を意味する。幸運の女神は前髪しかない、というやつ。『仕事は楽しいかね?』の「適切な時とか、完璧な機会なんてものはない」という言葉も思い出される。
ネットワーク(network)は、網状の構造のことで、タテ構造・ツリー構造とは異なる情報の在り様を指す。社会学の「弱いつながり」も参照のこと。そのつながりは、単に名刺を交換しただけでは生じない。ツイッターでフォローしただけで「つながった」とは言えないのと同様に。Scrapboxにおいてリンクを張る行為と同じように、その人が「認識」されてはじめてつながりが生じたことになる。ノード化。
言うまでもなく、上の二つは呼応しあう。フットワークがあるからネットワークを渡り歩けるし、またそれが広がっていく。その呼応は再帰的にネットワークを広げていく。
最後のジャストワーク(justwork)は私の造語だが、意味はそのまま「ちょうどよく働く」である。それは、過剰な無理をしない労働形態であり、自分の能力が適切に活かされている職務形態である。むろん、そのような形態が望ましいのは言うまでもないが、いかにしてそれにたどり着くのかは簡単ではない。
運。
それにつきる。
考えてもみればいい。大学を卒業したばかりで、自分の実務能力や興味関心についてほとんど知識を持たない人間が、それから40年以上勤め続ける企業を適切に選択できるだろうか。もしそれが可能だとしたら、それは運以外の何ものでもない。
しかし、である。ネットワークとフットワークを駆使して、ノードを渡り歩けば、そのポイントが掴めるようになる。あるいは、ジャストワークににじり寄っていくことができる。
大橋さんの話は、そうしたにじり寄りの結果であったと言えるだろう。
でもって、だいたい私の人生も似たようなものだったのだ。
『僕らの生存戦略』では、そういう話を展開したいとずっと考えていて、結局まだ脱稿できないでいる。