第一回:どっちつかずのブログ
困難は分割せよ、とデカルトは言った。
どうあがいても分割できない困難も存在するが、多くの事柄は分割し、焦点を絞ることで、より易しい(≒困難さが小さい)問題へと還元できる。分析的思考だ。
その分析的思考と対をなすのが統合的思考であり、両者が一体となって、人間の知性は駆動する。どちらかだけではダメなのだ。この両輪こそが、人間の知的営為を知性足らしめている。
と、話が脱線しかかっているので立て直すと、今回は「本」とWebの関係について考えてみたいと思う。
この二つについて考えることは、
ブログと本という二つのメディア
パッケージングされたコンテンツで情報を伝達したいという欲望
Webにおけるコンテンツビジネスの在り方と作法
について考えることである。
困難だ。なので、少しずつ分割しながら話を進めていこう。
■震源
まず、ビリビリとinspireされたのが以下の記事たちである。
◇「Webをもう一度やりなおすために」コメント - R-style抜き書き
◇つぶやきからブログへ、ブログから本へ (ライフハック・ジャーナル #34)|ほりまさたけ|note
◇何か新しいことをやってみたいとき - 結城浩のサブスタック
考えるべきことは山ほどある。論点を整理し、意見を明確にして、未来を見据えなければならい(困難だ)。
正直に言って、どこから話を始めるのが適切なのかぜんぜんわからない(困難だ)。
だから、適切な順番は脇に置いておき、思い浮かんだことをつらつらと書き進めてみる(困難ではない)。
今回はその第一回である。
■ブログとは何だったのか?
一体、ブログとは何だったのだろうか。
少なくとも日本においては、HTML日記の系譜に位置づけられ、SNS(特にTwitter)に連なるメディアではあるだろう。
HTML日記に比べれば、記事を公開する手数は少ないものの、サイト全体のデザイン性はそこまで自由度が高くない。少なくとも、基盤となっているCMSを理解する必要があるし、そうしたカスタマイズがほとんどできなサービスもある。
一方、SNSに比べると、フローの流れは遅く、また更新の手軽さはずいぶんと落ちる。大量のスパムのせいでコメント・トラック文化は衰退し、人と人をつなぐ機能もほぼ消失したと言える。
結局、どっちつかずなのである。
一時期もてはやされた、「ブログだとGoogleの検索結果の上位に位置できる」という特性も、SEOに特化するくらいしか能がないサイトが大量に生まれたことで、ほとんど失われているし、そもそも人が情報を探す場所が、Google以外にも分散している状況もある。
特に、一時期のブログが得意としていていたノウハウ系の情報は──なにせ手っ取り早くアクセスを集められる──、主戦場を動画に(というよりもYouTubeに)移しつつある。
結局、どっちつかづなのである。メディアとして、ひどく中途半端な位置づけに落ち着いてしまっている。
さりとて、ブログがいまだに一部の人たちに愛好されている点は見逃せないだろう。それは読み手においても、書き手においてもしかりである。
だからまずは、じっくりとブログについて考えてみたい。その上で、Webでの発信と「本」の関係について考えていきたい。