ライフハック2.0に向けて
そこに書かれるライフハックは「人生をSurviveするためのライフハック」であり、それは洗練された手法で有る必要も無く、不要なモノをそぎ落とした本当の意味での欠かせないパートナーであろうと思います。
おそらくこのようなものが「ライフハック2.0」となるのだろうな、という直感があります。行き詰まりを迎えたいわゆる「ライフハック」とは違った分岐点を進むもの。
日本での「ライフハック」受容がひどく仕事術に偏っていた点は、今更指摘するまでもないでしょう。仕事術の側面で効率化が進められれば、その結果は目に見えています。会社に役立つ人間になる、という目標を達成するものになるのです。そこには──一部分だけは含まれていても──その人の人生は含まれていません。ノーライフ・ハックです。
ライフをハックするのであれば、そこには人生の総体が含まれているべきでしょう。その点で、かつてのライフハックは偏っていたと言えます。ごく一部分に強いフォーカスを当てすぎていた。そんな感覚でしょうか。しかも、日本の組織は「ハック」的なものを嫌います。だとすれば、道行きが行き詰まってしまうのも当然です。
だからこそ再起動が必要なのでしょう。別の道行きを進むための再起動が。
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私は一年の目標を尋ねられると「今年一年を生き延びることです」と答えてきました。冗談に受け取られることも多いのですが、これはかなり切実な目標です。人間ひとりが、一年生き延びるというのは結構すごいことなのです。工夫も必要ですし、努力も必要です。なんだったら運がなくてはどうしようもないことだってあるでしょう。
そういう側面にフォーカスを当てた「個人の工夫」。それが注目されるべきときがやってきているのかもしれません。
その際のポイントは、「自分が人生の支配者になる」という観点をあっさり捨て去ることです。そのような自己の欲求を満たすためのあれこれは、だいたいどこかで行き詰まります。それはもう自己管理を超えた自己支配であり、あらゆる独裁がそうであるように、軋轢と憎悪と精神的疲弊が押し寄せてきます。
そういうのはもう終わりにしましょう。
私がずっと前から「僕らの生存戦略」というフレーズを用いているのは、生き延びる(Survive)という感覚を大切にしたいからです。何かを達成するためではなく、何かを征服するためでもなく、ただ「生き延びる」こと。
もちろん、単に生命活動を維持するということだけではなく、そこに「生きる=活きる」という感覚があること。そのために現代で何をすればいいのかを考えるのが「僕らの生存戦略」の大テーマです(まだ書籍は完成しておりませんが)。
非常に困難な状況にあるとき、生き延びることだけで大いなる達成だと言えるでしょう。でもって、そうした困難は、この社会でさまざまな場所に見受けられるのではないかと思います。
仕事ではなくライフに注目すること。がむしゃらな努力ではなく工夫に焦点をあてること。
そういう観点の変容こそが、ライフハック2.0に必要なことでしょう。そんな風に思います。
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