プロジェクトの管理は難しい
以下の投稿で、プロジェクトノートをつけはじめたと紹介されています。
プロジェクト管理なんて必要ない。毎日、その時に思いついたり、締め切りが近づいたプロジェクトを進めていたら、勝手にタスクが完了していて、プロジェクトも完遂しているものだ。
ついこの前まで、僕はこう思っていました。
手持ちの作業が、「自分の袋」に収まる間はまさにこの通りなんですね。プロジェクトの管理なんて不要で、黙々とデイリーに向き合っていれば、すべてがうまく進んでいきます。全部やる時間があるならば、後は取り掛かる順番だけの話であり、それ以上の選択は不要です。
一方で、手持ちの作業が「自分の袋」以上になってくると、なかなかそうは問屋が卸しません。なかなか着手されないプロジェクトが出てきたり、そのおかげで進捗状況を見失う事態が生まれたりします。毎日プロジェクトにコミットしているなら、常に「昨日の続きから」で済むわけで、難しいことはなにもないのですが、数が増えてくるとそうはいかないわけです。
扱う対象のボリュームによって、必要な管理手段も変わってくる。
そんなことがいえるでしょう。
なので、プロジェクトに関する情報を扱うノートを作ることが求められるのですが、ここに難しい問題が生まれます。第一に、そもそもが忙しいのにさらに「管理」の手間が増えてしまうこと。第二に、デイリーで管理している人は見るべき場所が複数に分かれてしまうことです。
だいたいプロジェクトの扱いがうまくいかないのがこの二つの理由でしょう。でもって、これが「タスク管理の中級者」に立ちふさがる第二の関門でもあります。
第一の関門は、「やり忘れを防ぐために、メモを取り、リストを作る」という基本的な動作であり、それはそれで重要なのですが、それをクリアすると、次は「盛りだくさんの”やること”をなんとか切り盛りしていく」という動作が求められるようになります。これらは、メモを取り、リストを作っているだけではどうしようもありません。
一つは、中長期的な状況に対応するためのノートが必要になります。
もう一つは、複数の”やること”に優先順位をつけ「今はこれにコミットする」という選択が必要になります。
最後の一つは、デイリーという日々の視点から、一つ(ないしはもう一つ)上にあがる必要があります。
この三つがクリアできて、ようやく「盛りだくさんの”やること”をなんとか切り盛りしていく」が可能になるのです。
もちろん、やることのボリュームが小さい人はここまで考えるのは「過剰」というものでしょう。もっと言えば、こうした管理が必要なくなるようにうまくマネージしていくことが理想なのかもしれません。しかし、理想は理想であり、現実は現実です。そういう必要性に迫られたら、知らんぷりするのではなく、対応していきたいところです。
デイリーで管理していることに慣れている人ほど、「一つ上の視点」の重要性を軽視し、そのための管理に手間をかけることを厭うわけですが(私がまさにそうでした)、そのままいくと「状況がまったく手に負えない」という感覚が湧いてきます。
とある本の中で、セルフマネジメントにおいては、「見通し」「コントロール感」が重要だと書きましたが、まさにそれが失われてしまうのです。
だからこそ、何かしら「プロジェクト」に関するリストやノートを作るわけですが、まさにそれが忙しい状況でこそ求められる、という点にこの問題の難しさがあります。言うのは簡単なのですが、行うのは簡単ではありません。
でも、少しずつでも手がけていくしかありません。むしろ、少しずつ手がけていくことが最大の解法になりそうです。