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プロパティ過剰症候群への抗い | メンバー限定記事

ObsidianのBases、Notion、Capacities、そしてinfobox

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倉下忠憲@rashita2
Aug 22, 2025
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部屋の整理整頓を考えたときに、「モノを減らす」が筆頭に上がるのは間違いありません。所有物が減れば、置く場所に悩むこともなくなりますし、ケアの気苦労も減ります。

だったら、情報の整理整頓はどうでしょうか。

どんな気持ちを誘発しているのか?

先日ObsidianでBases機能が追加されました。大きな方向性として利便性を上げる機能だと思います。

一方で、こういう記事も書きました。

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一覧がもたらす不足感と比較の話
今日、noteでObsidianのbases機能を紹介する記事を書きました。…
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4 months ago · 3 likes · 倉下忠憲@rashita2

自分自身の体験からいっても、一度このBases機能に触れたらフロントマターによるプロパティ設定に意欲的にならざるをえないでしょう。デジタルの情報ツール歴が浅い人ほどそうなるかもしれません。それくらいの力が「一覧」にはあるのです。人の行動を誘発する力が。

カードビューを使うなら、ぜひとも画像を添付したくなります。テーブルビューを使うなら役立ちそうなプロパティを表示させたくなります。

純粋な意味での「機能」の問題ではありません。「見た目」の問題なのです。

何かを目にしたら、私たちの脳は反応します。その反応の傾向が「情報は埋まっている方がいい」という方向に傾いてしまう。Obsidianが悪いというのではなく、こうしたビューが持っている力なのです。似たようなことは、Notionでも、Capacitiesでも起こります(一番強く起こるのはNotionで、Capacitiesはややマシです。その点は後述します)。

幸い私は、デジタルノートの”歴戦の歩兵”なので、失敗の「あるある」は引き出しに大量に入っています。プロパティ過剰症候群の兆候を感じたら、自分で引き返すことができます。でも、ウブなプライベートではなかなか難しいでしょう。

使う宛のない、しかし「使うかもしれない」プロパティをガンガン設定し、やがてそれを入力するのに嫌気が差す未来がやってくる。そして、「こんなツールはダメ。今はやっぱりhoge」と新しいツールに転じていくのです。

もちろん、そのような経験を重ねることでプライベートもまた歴戦の歩兵に転じていくわけですが、その途中で「ノートを書くこと・記録をとること」が嫌になってしまうのは悲しい出来事です。だから、老婆心全開で「ちょっと気をつけた方がいいよ」と語りたくなります。

かくいう私も、上記の記事を書くために、ひさしぶりにObsidianのファイルエクスプローラーを表示したら、あまりにもとっちらかっているので新しくフォルダを作って整頓してしまいました。これまではそんなフォルダがなくても何一つ困っていなかったのに、単に「見た目が鬱陶しいから」という理由だけでフォルダを作らざるを得なかったのです。

ここでも「見た目」が問題なのです。何が目に入るか。機能的には何一つ不都合なく使えていたのに、それが目に入った瞬間に放置できなくなったのです。

私はObsidianの運用において口を酸っぱくして「ファイルエクスプローラーを使わない練習をしてみてはどうか」と言っていますが、私と同じように「見た目」がとっちらかっているのが堪え難い人ほどその練習の価値はあると思います。

無駄なことはしない?

こうした話をすると「うんうん、無駄な情報は不要だし、無駄な作業はしない方がいいね」と納得されるのですが、そんな簡単な話ではありません。

たとえば、私は本の表紙画像の設定をしてまわっていたとき、単純作業であることは感じつつも、「やりがい」を感じていました。あらゆる事務作業は、とにかく一つひとつ片づけていけば前に進みます。coverを追加して、画像リンクをペースト。目標をセンターに入れて、スイッチ。そのようにして実際に作業が終わると新しく画像が表示されます。これは「フィードバック」が利いていることを意味します。

つまり、実感としてその作業は「無駄」には思えないのです。心理的な報酬がきちんとあるからです。

プロパティを過剰に増やしているときもそうです。そうやって設定している瞬間は間違いなく楽しく、やりがいがあります。情報が少ない状態から、自分の操作で情報が多い状態へと変化する。フィードバックがありますし、コントロール感も生まれます。そのような作業に人は引っ張られてしまうのです。

そして、「自分が扱わなければならない情報」が際限なく増えていくことになります。それはつまり、情報の整理整頓の困難さが増えることを意味します。

はたしてそのような状態を自分は望んでいるのでしょうか? ここは落ち着いて──システム2を発揮させて──考える必要があります。

NotionとCapacitiesとBases機能

ところで、ObsidianのBases機能は見た目で言えば、NotionやCapacitiesに似ています。

以下はNotion。

以下はCapacites。

方向性として、ObsidianのBases機能はこういう方向に向かっていることは間違いないでしょう。

ちなみに、NotionもCapacitesでも表示されているそれぞれは一つのページとして扱われていて、プロパティ欄が空白でもぜんぜん問題ありません。にもかかわらず、それを埋めたくなる心理が働いてしまうからこそ、ObsidianのBasesでも同じような問題が起こるだろうと懸念されるわけです。

その上で、Notionはプロパティ過剰症候群が起こりやすいと予想されます。それはなぜかと言えば、最初にこういう一覧が表示されるからです。

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